コイビト未満
「はあ…」
真夜中に目が覚めて
ぐっすり眠っている葵を置いてベランダに出る
一人の時間
葵がいない時間
この時間の朝焼けを眺めながら
何も考えずにボーッとするの
それだけで
気持ちが和らぐ
真っ青な空が少しずつ、紫、赤へと染まっていく瞬間
その時間が好きなの
「いなくなったかと思った…」
「わ……葵?」
「起きたらいねーんだもん」
「あたしんちなんだから…いるってば」
いきなり後ろから抱きしめられる
一人の時間とか言っても
こうやって葵に抱きしめられる
この温もりからも抜け出せないの
それが私のいけないところ