コイビト未満
「もう!決めたからやるの!
葵も黙ってバイトしてなさいよ!」
そう言って冷たく突き放す
少しくらい冷たくしないと、この子にはわからない
でも…
「じゃあ菜成…約束してくれる?」
「何?」
「絶対他の男のとこ行くなよ?絶対、俺のとこ、すぐ戻ってきて」
子猫のような甘えた顔をするのに
その瞳はすごく寂しそうで
親の帰りをずっとまっている子供みたい
束縛は嫌い、
誰かに何かを決めつけられるのも嫌
私は私のペースで生きたい
けど葵に振り回され始めてから
葵の我儘までもが愛しくなって
全部受け入れてしまう
私は、葵のことちゃんとしてあげられないから
今、凄く不確かで中途半端な関係だから
だから不安なんだよね?
私がすぐに何処かに行っても、責める権利がないような関係だから
だからそんな哀しい顔してるんだよね?
「…ごめんね」
「え?」