コイビト未満



脱いだヒールも揃えずに


部屋に着いてすぐベッドへなだれ込んだ




そっか、そっか、



そうだよね、




何度も呪文のように唱える




そうなんだ、と



「ふう…」




問い質す権利もないから



全ての感情を押し殺す






きっと葵のことだから



補習が終わるタイミングを沖田さんが見計らって
強引に花火大会に誘って


葵も渋々………って



見える。見えるから特に何も思わない




葵に対しては思わない




けれど沖田さん





こういうことがある度に沖田さんに情が湧いてしまう情けない自分がいる





< 191 / 433 >

この作品をシェア

pagetop