コイビト未満
「…………菜成が
菜成が思ってること、多分そのままだと思う
何も間違ってないと思う
補習が終わった流れで沙弥と出かけることになった経緯(いきさつ)も全部
きっと菜成が考えてるままで合ってる」
後ろから覆われたまま
私の肩に顎を載せる形で話し始めた
私は分かってる
葵も分かってる
分かり合ってる
だから、あんなことで衝突なんてしない
けどどうしても私たちのベクトルは同じ方向には向かなくて
数度のズレで、すれ違ってしまう
「俺もよくわかんねーんだわ、あいつ…
あいつがそれでいいって言うからもうそういうならって…」
「……ね、葵…
葵は沖田さんと付き合うって選択肢はないの?」
「は?」
「………ごめん」
「ごめんって思ってんならそういうこと、言わないで」
「ごめん…………」
思わず口調が強くなる葵
そんなこと言ってはいけない
分かってるのに心と身体は裏腹で
気付いたらまた葵を傷付けるようなこと、言ってる