コイビト未満
「ねえ葵?
花火は全然誰とでも行ってもらって構わないんだけど、肝心の補習は大丈夫なの?」
「あー、もちろん
余裕過ぎて今すぐでもテストやってくれって言ってんだけどさ
出席日数足りない分補習受けるまでダメだって。」
「………そういうの
何て言うか知ってる?」
「へ?」
油断している内に
葵の鼻を摘まむ
「『身から出た錆』
まだまだ勉強不足なんじゃないの〜?」
ムスッと悔しそうな顔を見せる
そうやって葵をいじめるのが少し楽しかったりして
「見てろ菜成
俺は出席日数が足りなかっただけで学が足りない訳じゃねえんだよ
まじで見てろ180点取ってきてやるからな」
「満点は100点じゃないの…」
葵は負けず嫌いで
貶されるととことん上を目指す子
それは分かってる分には扱いやすい
「旅行のこと、忘れないでよね」
「当たり前だろ!そのために今必死になってんだから!」
「だから最初からきちんとやっておけば…」
何か言った?と言わんばかりの顔で私を見る
「…じゃ、お互い頑張りましょ」
「はーい」
葵と過ごす初めての夏
凄く変な気持ち
こんなに高まっている自分がいるなんて