コイビト未満


「ねえ葵?
この旅行のこと、三崎さんには何て言ったの?」

「ん?あー…
菜成と、なんて言ったら気まずくなるの心配してんだろ?
大丈夫、男友達と行ってくるって言ってあるから」





私の不安を先読みしている葵


ズルい



その通りだからありがたいけど、けどズルい





何で私の考えてること分かるんだろ…





「気…遣わせちゃってごめんね」

「気にすんなって
前日にそんな暗い顔すんなよ!」



笑ってって、私の頬を軽く抓る



葵の笑顔は、いつも優しい




自然と私も笑顔になる






「ふふっ………

ねえ葵、沖縄に着いたらね

葵に見せたい景色沢山あるんだ


カメラなんかには収められないくらい素敵な景色
私そういうのが好きでよく一人で旅行に行くの

そんな自由気ままな旅行に誰かと行くなんて初めてだからつまらなかったらごめんね?」



ちょっと消極的になる私を

葵は後ろから抱きしめた




「それは絶対ないから
俺の知らない菜成を知れるの、すっげー嬉しいし
菜成の好きなものを共有のも幸せ過ぎる」


抱きしめられた腕を、きゅっと握る

ありがとうって、意味




やっぱり言葉にしないと伝わらないかな?




ねえ葵



素敵な思い出、作ろうね

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