コイビト未満
「でもね、ここは何度も火災とか起きてて、建て替えられてるの
だから綺麗でしょ
昔のままではないんだ」
「へー……」
「それも全部含めて歴史なんだけどね」
私の一つ一つに耳を傾けてくれる葵が嬉しい
教育実習の時なんて、一切何も聞いてなかったくせに
それが凄く凄く嬉しい
「もっと一緒に行きたいところあるんだ
でも時間が足りないから、また次回」
「え?
次回って…また一緒に行ってくれんの?」
何気無く言った言葉が葵には響いた
”また次回”
全然意識なんてしていなかったけど
葵がそんなこと言うから
自分でもびっくりしちゃって