コイビト未満
沖縄の夜
暗闇の中
人違いか、全く知らない人の名前を呼ばれ腕を掴まれる
葵ではない、知らない男の人の声
人違い?それとも、沖縄流のナンパ?
「ひ、人違いです………
離してもらえますか…」
必死に腕を振りほどく
葵の時もそうだったけれど
やっぱり男の人の力には敵わない
途轍もない恐怖心に襲われる
「え、あ-………
すみません
人違いですね…………
大変失礼しました…」
男の人は我に返ったように私の腕から手を離す
街灯の薄明りで微かに見えるその顔は
私と同じくらいの若い男性だった
少し不安そうな顔で私を覗く
「すみません、怖がらせてしまって
知人に似ていたものでつい…
本当にすみません」