コイビト未満


「あの、大槻さん…は
何の写真を撮られてるんですか?」

「悠也でいいですよ
大学生ってことは、20歳くらいですよね?
俺、23歳なので同年代だと思いますし
僕も菜成ちゃんでいいですか?」


「あ、はあ…」


「話逸れましたね、すみません

俺が撮っているのは風景写真です

生まれは東京なんですけど、高校時代に初めて沖縄に来てからこの地の景色に魅了されてしまって

卒業してからこっちに移り住んでずっとフリーの写真家やってます」




そう言って、悠也さんは鞄からフォトアルバムを出し私に見せた



「わあ………素敵…
とっても綺麗、この写真悠也さんが撮ったんですか?」




嬉しそうに笑った




「ええ、まあ。
俺が見た景色をそのまま沢山の人に伝えられたらなと思って
そういう素直なリアクションして頂けると写真家冥利に尽きます」





その写真を見た時、


私が初めて沖縄に来て景色を見た時に感じた感動と同じ感覚だった

海、空、砂浜、花、木



全てが美しくて



目で見て感じる景色がそのまま写真に投影されている
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