コイビト未満


「菜成ちゃん、お時間があれば
少しどこかで話しませんか?
僕が勝手にご迷惑をおかけしてしまっただけですが
せっかくのご縁なので」





私の表情を察したのか


そのままホテルの近くの居酒屋に連れて行かれた



一瞬しか見なかったあの女性の笑顔が忘れられなくて




「ビールでいい?」

「あ、はい」





明るい室内で見る悠也さんは
夜道を歩いていた時と印象が違った



優しい瞳で、優しい口調で

ふわっとした雰囲気



そんなこと感じさせないような

キリッとした男らしい人






改めてアルバムを開いて、写真を見せてくれた



「莉香は……あ、失礼

この女性がさっきも話した
以前に付き合っていた女性です。
名前は皆瀬莉香
僕が菜成ちゃんと間違って名前を呼んでしまいましたね
僕より5つ上だから、今年で28歳かな?」

「あら、5つも…」

「そう、そこですよね
皆そう言って驚きます
でも今時年の差なんて珍しくないでしょう
親子ほど年の離れた夫婦だっていますからね

でも、女の方が年上だと
どうしても幾つ年が離れていようが頼りなく見られてしまうんですよね」








< 235 / 433 >

この作品をシェア

pagetop