コイビト未満



少ししか口を付けていないビールも

話に夢中で泡はなくなっていた



グラスも少し温くなっている




「私も色々ありましてね、…
大したことじゃないんですけど

私が小さい人間だからどうしてもずっとずっと引きずってしまって

だから今煮え切らずにこんな中途半端な関係続けているんだと思います」


「彼のこと、好きじゃないんですか?」


「そんなことは………そんなことは決してないです
今はもう私の生活の中心です

沖縄へ一緒に旅行へ来たのも
私にとって特別な場所を一緒に見たくて


だけど口ではどうしても上手く伝えられなくて…」





悠也さんはクスッと笑った





「菜成ちゃんって凄く真っ直ぐな子ですね」

「え?」

「菜成ちゃんにとって大切なこの場所へ、彼を連れて来たということは
自分のテリトリーを許してるそれだけ大切な存在ということでしょう?
人間はどうしても言葉にしないと伝わらない部分もありますけど
俺には菜成ちゃんの愛情、伝わりますよ」


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