コイビト未満



そう言って悠也さんはアルバムの中から一枚写真を取り出した


「こういう写真を見て、伝わるもの分かりますか?
悦び、哀しみ、感動、幸せ

言葉にしなくても、見ていると少しずつ伝わるでしょう?
それが写真の魅力なんですよ

きっと菜成ちゃんはそんな存在です
菜成ちゃんそのものに意味があるんですよ

相手に伝えることは難しいことです
勘違いしてしまうことだってありますからね
だから言葉にして伝える勇気も少し持ってみてください」





悠也さんの言葉が優しかった


こんな優しい人だから、あんな素敵な写真が撮れるんだろうな


カメラは、撮る人の眼



この風景は悠也さんが見た景色





莉香さんが写った写真をじっと見つめる

この莉香さんは、悠也さんへ向けて笑っている




私もいつか




葵に、こんな素直になれたら…なんて





「不器用なんですよね、私って
周りからもよく言われます

でも少しずつ変えていかないと何も進みませんよね
悠也さんみたいな方に出会えて思いました」

「俺は何も。
結局追いかけることも出来なくてズルズル莉香を想っているだけの未練がましい男ですよ」


「いつか、絶対
悠也さんが写真家として一人前になった時に
莉香にさんに思いを伝えてくださいね
私なんかが言うのは厚かましいと思いますけど」




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