コイビト未満
大人の手前
ホテルに戻ると、うとうとしていた葵はもうぐっすり眠っていた
赤ちゃんのような可愛い寝顔で
「今夜覚えとけよーとか言ってたくせに爆睡じゃん」
何も期待なんてしていないけど
寝ていたらこんなに可愛いのになあ…なんて思ったり
「ん…………菜成?」
「あ、ごめんごめん起こしちゃった?」
私の立てる物音に反応して目を覚ます葵
「んー……俺寝ちゃってたんだ
菜成どこ行ってたの?
携帯も置いてってるしさ
行方不明になってたらどうしようって心配してた」
「爆睡しといてよく言うわ」
眠たそうな目をこすりながら身体を起こす
さっきのこと…悠也さんのことは葵には内緒にしておこう
何話してたの?なんて聞かれちゃったら面倒くさい…
「散歩だよ散歩」
「ふーん」
「葵、明日帰るんだから寝る前に荷物まとめなよ」