コイビト未満


「本当に色々ごめん
葵沢山頑張ってたの知ってたし
文化祭一緒に回るの楽しみだったんだ

だけどね、私よりもっと楽しみにしてる人がいるでしょ?

葵はそんなこと言ったら気にするなしか言わないだろうから言わなかったけど
だけどやっぱそれを考えたらでしゃばれないって思っちゃって…」


「だろうね。分かってる」

「それで、えっと…」

「もういいよ、よく頑張りましたね」





そう言って、頭をポンポン、と



葵は全部分かってる



葵には全てお見通し





つけない嘘をついていた





どこかで私も、気付いて欲しかったのかも知れない

不安で仕方ない私に、気付いて欲しかったのかも知れない







「ごめんね葵…………」

「いいから

じゃあ、これから俺と回ってくれる?」

「う…ん」




ニコッと笑った




嬉しそうな葵の顔



行こっか、と
また触れるだけのキスをして校舎に戻った





気付かぬ間に繋いでいた手




この手を離さないように



ぎゅっと、握った





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