コイビト未満
ふわっと吹く秋の風が心地良い
少し涼しくて、キリッとした空気の香り
「菜成の眼鏡、いいな〜
凄くやらしい」
「ばか…
葵が掛けたんじゃん」
そう言って私に掛けていた眼鏡を外す
「いいな、なんか」
「なにが?」
「俺さ、軽ーく夢だったりしたの
好きなコと同じ制服で放課後過ごしたりすんの」
葵に着せられたブレザー
少しでも高校生に戻ったような気分で
「私も………高校生の頃はこんなことなかったから…
凄く不思議な気分」
「菜成の高校生時代って、こんな感じだったの?」
「んー…髪は黒かったけど、そんな変わんないんじゃないかな」