コイビト未満


「改めまして、皆瀬莉香です

まさかこんなところで悠也の知り合いに会うなんてね」

「蓮見菜成です 大学3年です
私の方が大分年下なので敬語も使わないでくださいね、名前も蓮見って呼ばれること殆どないので菜成って呼んでください
なんか注文多くてすみません…」



クスッと笑う莉香さん



「じゃあ遠慮なく
ナナセちゃんって可愛い名前ね
どういう字書くの?」

「菜の花の菜に、成るって書きます
珍しいんですよね…」

「へえ、とっても綺麗」



菜成という名前


小学生の時に親から名前の由来を聞いてくるという宿題があった



私が生まれた4月の頭


今の家を建てる前に住んでいたマンションの近くにあった名の花畑

その季節になるとお父さんがよく幼い私を連れて散歩に行っていた


『父さんがよく連れて行っていた菜の花畑、覚えてるか?父さんはあの菜の花の鮮やかな景色が大好きでな
こんな綺麗な景色のように澄んだ可憐な女の子に成って欲しいという願いを込めて菜成とつけたんだよ』



今でも鮮明に覚えている



春になると、あの菜の花畑を思い出す




気持ちがリセットされて、心が落ち着く瞬間


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