コイビト未満
三崎さんの部屋にあがったのは久しぶり
葵と居ても、三崎さんと住んでいるから葵の家へ行くことなんてないし
葵がほぼほぼ私の部屋に住み着いているような状態だったから
この空間に居ることがそわそわする
やっぱり外に誘うべきだったかな……
でも、自然とまた嗅いでしまう
葵の香り
部屋中に葵と同じ香りがする
振り返ったらいるくらいの感覚
「菜成ちゃん?」
「え?あ、ああすみませんボーッとしちゃって」
「珍しいね
はい、これ資料
マーカー引いてあるところ頻出らしいから」
「わあ…わざわざありがとうございます」
結局そうなんだよなー…
心の底で呟く
三崎さんは都合のいい時しか要らない
きっぱり言えたらそれでいいんだけど
どうしてもここまでズルズルして
況してや葵との仲もあって余計なことは言えない
三崎さんは凄くいい人だから
葵の、お兄さんだから