コイビト未満
困った顔をして見ている三崎さん
いけない……何やっているんだろう自分
「菜成ちゃん…大丈夫?」
「あ………はい、すみません突然
自分でもよく分からなくて」
今まで気にしなかった風景に
突然違和感を覚える
所々に置かれた段ボール
まだ開いてないものばかり
まとめて括られているものもある
「あ、あの…
この段ボールって…?」
「あ…これ?」
三崎さんは一瞬言葉を詰まらせた
「菜成ちゃんに言おうと思っていたんだけどなかなかタイミングがなくてね
俺、大学を卒業して海外で働くことになったんだ
元から海外で働くことが一つの夢だったから
今回内定先にその話を貰って
たまたま今両親が居る所と近いから断る理由もなくてね」
海外……
三崎さん、海外で働くんだ
………葵は?
じゃあ、葵はどうなるの?
この広い部屋で葵はこれから一人暮らし?
「じゃ、じゃあ…この部屋は葵が一人で住むんですか?」
「この部屋は賃貸だから春には契約も満了になるしそのタイミングで退去する予定だよ
葵も一緒に向こうへ行く
向こうの大学へ進学させて、家族で移り住むって話になったんだ
黙っててごめんね、いつかは話さないとってずっと思ってたんだけど」