コイビト未満
『俺の部屋の資料持ってきて、至急』
なにもする気が起きず部屋でボーッとしていたところ
何事もなかったかのような兄ちゃんからの連絡
いい様に使いやがって
至急と言われたものの気分が乗らず
30分してやっと重い足を上げ大学へ向かった
菜成の部屋の電気は点いていなかった
何処か出かけているのか?
「あれ!葵くん!なにしてんの?」
「あー…梨羽ちゃん、久しぶり」
正門の手前
声をかけてきたのは梨羽ちゃんだった
「何してんの?菜成ならとっくの昔に帰ったよ」
「いや…兄ちゃんに届け物
梨羽ちゃんはこんな時間まで何してんの?」
「私はレポート。明日提出だからさ」
梨羽ちゃんもちゃんとやってんだな
何もやってなさそうな感じだけど。
「三崎さんの研究室分かる?案内しようか?」
「いや、何度か行ったことあるから大丈夫、ありがと」
梨羽ちゃんと軽い挨拶を交わして別れようとした