コイビト未満
色々…
菜成の昔のこと
何かあったということは少し耳にしていたけど
結局それが何なのか
本人に聞けるわけもなく
そこに鍵が在ると分かっていても
手を伸ばせない
「梨羽ちゃんはその事、知ってんの?」
「ううん、知らない
私は大学で菜成と出会ったから
高校から一緒の利根は知ってるみたいだけど?
いい意味で私たちはそこまで詮索するような仲じゃないし
お互い話したくないことは話さない
私だって菜成に話してないこと、色々あるしね?」
俺の目を見て怪しい笑みを浮かべる
「色々?例えば?」
「んー…例えば…
誰にも言えない、秘密の恋…とか?」
秘密の恋?
一瞬にしてそれまでの梨羽ちゃんは居なくなった
こんな女の子だったっけ?
もっと明るくて、裏表のない………
これが
菜成の知らない顔?