コイビト未満



色々…


菜成の昔のこと


何かあったということは少し耳にしていたけど



結局それが何なのか
本人に聞けるわけもなく





そこに鍵が在ると分かっていても




手を伸ばせない




「梨羽ちゃんはその事、知ってんの?」

「ううん、知らない
私は大学で菜成と出会ったから
高校から一緒の利根は知ってるみたいだけど?

いい意味で私たちはそこまで詮索するような仲じゃないし
お互い話したくないことは話さない
私だって菜成に話してないこと、色々あるしね?」






俺の目を見て怪しい笑みを浮かべる




「色々?例えば?」

「んー…例えば…

誰にも言えない、秘密の恋…とか?」








秘密の恋?




一瞬にしてそれまでの梨羽ちゃんは居なくなった


こんな女の子だったっけ?
もっと明るくて、裏表のない………




これが


菜成の知らない顔?
< 380 / 433 >

この作品をシェア

pagetop