コイビト未満
「葵大きくなったね
170はあるよね?」
「ん。176だっけな確か。」
俺より大きかった美来を
美来の居ない時間にあっという間に抜かして
気付けば身体も大人になっていて
それは美来の知らない時間
別れ際俺を見上げる美来が
菜成と同じくらいの背丈で
あぁ、こいつも女の子なんだなって再確認させられる
「んもー、こんないい男になると思ってなかったから損した気分。あの時私が一緒に連れてけば良かった」
「何馬鹿な事言ってんだよ」
「えー?少し本気よ?
でも今の葵を知ってるのは私じゃないもんね。
悔しいけど。
飽きっぽかった葵がそこまで必死になる子だもん
こうやって葵が真剣に悩む姿も想像出来ないくらい能天気な子だったから
翔太にはあんたから言うまでは黙っておくからだからちゃんとしな。」
次いつ会えるか分からない
いつまで日本にいるかも聞いてない
またすぐ会えるかのように美来と別れた
なんか調子狂う…
今俺は美来の知らない道を歩いている
菜成のために歩いている
美来という存在は過去
沢山の思い出をくれた美来
また日本に来た時は連絡してくるのか?
お節介染みた助言だったけど
それが俺のいとこ
一生忘れることのない、俺の初恋の女性