コイビト未満
誤魔化すように笑った
「俺一応このままエスカレーターで大学行こうと思ってる。他の大学受けるのも面倒だし。」
初めて伝えた、自分の路
親にも、兄ちゃんにも、美来にも
菜成にも言ってなかったこと
こんなにさらりと赤の他人に言ってしまうなんて
逆に他人だから話せる事もある
「そうか。てっきり親御さんの元へ行くもんだと思ってた」
「高津と同じでね、俺もね、愛する人が居るわけですよ
その人を残して何処かへ行くって選択肢はないね
それだけが理由なんて言ったら周りの大人は咎めるだろうけど
自分の将来のために日本で思うように学びたいなって。
それも含めて日本に残ってそいつの側にいなきゃいけねえなって。」
何を言われてもいい
菜成の為なら、全て捨てられる
俺には菜成しかいないから
菜成の為に、俺の為に
俺自身が決めた事。