コイビト未満
やっぱり
そりゃそうだよな
親だから
未成年の子供を一人残すのは不安だろう
電話越しの母さんの声が弱々しくて、寂しそうで、話していて申し訳なってくる
『でも葵、翔太と違って頭そんな良くないしね
こっち来ても学校通えないかも知れないしね
今の学校なら外部から入るのは大変らしいけどエスカレーターだから救いよね』
「は?」
おい…それでも親かよ…
いや、確かに頭は兄ちゃんが全て持ってってるけど、
『それに葵って昔から我儘言わない子だったからね
そんなハッキリ言われたことないから少しびっくりしただけ
葵が日本にいて日本でやりたいことあるのなら私は反対はしないから
ただ一人残すのはどうしても不安があるから…そこだけお父さんとも話して決めた方が』
「うん…分かってる、ごめん母さん。ありがとう」
『ふふ、何年親やってると思ってるのよ〜』
ずっと言えなかった自分の思い
ここまで言わなかったことできっと母さんも薄々は気付いていたのかも知れない
さすが18年俺の親やってるだけあるな
この女にだけは一生敵わない