コイビト未満
「菜成!なーなーせー!」
「ちょっとお〜
葵に会いに来たわけじゃないんだから!離れて!」
インターホンを鳴らした瞬間
私に飛びつく葵
ああもう一々可愛い
けれど今日は違うんだから
今日は三崎さんとの約束
葵じゃない
「今日は三崎さんと約束してるの、だから葵くん、邪魔しないでね」
「なんの約束?何?」
抱きついたままの距離で迫ってくるから顔が近くて
葵の綺麗な顔が目の前
唇が今にも触れそうなくらいの距離で
でも葵はキスはしない
ただ問い詰める
「課題…
課題手伝ってくれるっていうから」
「それだけ?」
「うん……」
「………じゃあ、こういうことしないの?」
目の前にある綺麗なその顔が
触れるか触れないかの唇が
一瞬で触れた