コイビト未満
ピタっと止まった時間
張り詰めた空気が冬の寒さを増幅させる
利根の顔から笑みは一切消えた
過去への後悔、懺悔、憎悪
様々な感情が入り混ざって
その目はもう生気さえ感じられない
「3年の夏に…俺が
俺が学校に匿名で投書した。
高津と菜成が付き合ってること。
放課後一緒に居る所を度々目撃した、ってな。
『お互い大事にしたくないなら分かってるな』って校長が高津を呼び出して話しているのも聞いた
それで高津は、自分の為に…教師を続ける為に菜成を捨てた
全て無かったことにしようと、理由も告げずにな
菜成は何度も理由を聞いたらしい
でも高津は何も答えてくれなくて、ただひたすらごめんとだけ言って
菜成から離れて行った
全部俺が菜成の幸せを壊した
全部な…」