コイビト未満
「菜成、何度もお前のこと相談してたよ
素直になりたい。けど気持ちが通じあえば壊れていく気がして先に進めないって。
そう言うの聞くたびに俺のしたことの重大さを感じるよ
菜成はちゃんとお前のこと好きだから
俺がこんなこと言うのもって感じだけど
菜成の事幸せにして欲しい」
こんな辛い片想いはない
想っていても、伝えられず
一生内に秘めたまま生きていく
自分以外の男が菜成と過ごしていく時間を共に刻みながら
「言われなくても。
菜成こと誰にも渡さないし
離すつもりもねえから」
さっきまで張り詰めていた利根の表情も
少し明るさを取り戻す
「菜成が選んだ男がお前みたいなポジティブ野郎で良かったよ」
「悪口か?」
「いや、褒めてるって」
俺が菜成を変える
今まで俺に向けてくれた笑顔、涙、怒り、喜び
全部本当だって信じてる
俺に向けてくれる全ての感情を受け止めて
菜成とずっと一緒にいたい
ずっと一緒に居る。