コイビト未満
一度堪えていた涙が
また溢れ出して
葵の体温を感じられることがこんなにも幸せで
涙がずっと止まらない…
「聞いて菜成。
俺は兄ちゃんと一緒には海外に行かない。日本に残る。母さんにもちゃんと話した
このままここの大学に進学するから」
「……なん…で」
「菜成といたいから
俺まだまだ子供だからさー。菜成がいない生活なんて有り得ねえし菜成いないと無理なんだわ」
葵の我儘
いつもの我儘
分かってる
こんな嬉しい我儘ってあるのかな
それでも…
「さっき利根から全部聞いた」
「え?」
「菜成が昔高津と付き合ってたこと。
それで高津に裏切られてから信じる事に恐怖心ができたことも
全部聞いた。それでも俺は菜成が好きだよ
全部全部受け止める
菜成の過去の傷は全部俺が受け止めるから
菜成も……俺に委ねて欲しい
俺を信じて欲しい」