コイビト未満
面倒なことになる前に帰ろ
そう思って私はその場を去ろうとした
「菜成!ちょっと待って」
「いやいやいやいや大丈夫大丈夫」
「何がだよ…ちょっと待てって」
細い身体してるくせに
私の腕を掴む力が強くて、振りほどけない
ムカつく…
「なぁ菜成今日会える?」
「無理、用事あるから」
「終わった後は?」
「帰らないから」
「は?」
「てことで!さよなら!」
葵の隙を見計らって掴まれた腕を振りほどき、逃げるように全力で図書館を出た
あいつ…彼女の前で何言ってんの
本当に馬鹿