コイビト未満



マンションの前で私の帰りを待っていた葵



今日帰らないって言ったのに

そんな嘘、この子には簡単に見透かされてて




なんか私ばっかり、凄くかっこ悪い…







「ほらー早く歩く、酔っ払い」

「酔っ払い酔っ払いうるさいんだけどー」




先を歩いて行く葵が段々遠くなっていく



行っちゃう



葵………



「葵いー」

「ん?」

「ん」

「なに」

「歩けない」



酔っ払ってると案外何でも出来てしまうもので


両手を広げて、葵を呼ぶ




「おぶれって?」

「お願いー」

「…そういう時ばっか甘えて」




ブツブツ言いながらも葵は私の方まで戻ってきてくれて私を軽々おぶって家まで連れていってくれた



葵の背中が心地よくて

そのまま寝ちゃいそう


葵、いい匂い……



もう溶けちゃいそうだー…




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