コイビト未満


「はい、じゃまたね、おやすみ
ちゃんと鍵かけて寝るんだぞ」



葵はおぶった私をベッドに降ろし、

いつもなら長居するくせに



帰るそぶりを見せる



なんなのよ…

調子狂う






「葵…帰るの?」

「ん?帰りますよ?」

「あ……………そう」




ちょっと、いや、


なんかさみしい


お酒が入っているからかな




寂しいじゃん、帰るの?





葵がいなくなっちゃうのは、寂しい






心ではこんな素直な気持ちになれるのに



上手く伝えられない







「居ても………いいんだよー?」

「は?なにそれ」





葵は笑った


あまりに下手すぎる私の言い方に



自分でも馬鹿だと思う



何言ってんだろうって…
< 71 / 433 >

この作品をシェア

pagetop