コイビト未満
「はい、じゃまたね、おやすみ
ちゃんと鍵かけて寝るんだぞ」
葵はおぶった私をベッドに降ろし、
いつもなら長居するくせに
帰るそぶりを見せる
なんなのよ…
調子狂う
「葵…帰るの?」
「ん?帰りますよ?」
「あ……………そう」
ちょっと、いや、
なんかさみしい
お酒が入っているからかな
寂しいじゃん、帰るの?
葵がいなくなっちゃうのは、寂しい
心ではこんな素直な気持ちになれるのに
上手く伝えられない
「居ても………いいんだよー?」
「は?なにそれ」
葵は笑った
あまりに下手すぎる私の言い方に
自分でも馬鹿だと思う
何言ってんだろうって…