コイビト未満




「菜成……いれるよ?」

「…………」

「………やだ?やめる?」

「やめたいの?」

「んなわけねーだろ」





こんなシチュエーションでも

私の不器用な愛情に

ふざけて、笑いあって、またキスを重ねて



そうやって、葵に包まれて、一つになる




「あっ………ん……葵……」

「菜成…………痛い?」

「いたい…………無理………」






実はえっちなんて何年ぶりか分からないくらい久しぶりで

しかも初めてはすごくすごく痛くて

それが少しトラウマになっていたりした




怖い、痛い、でも…

瞼を開けると、葵がいて

そんな痛みとかどうでもよくて


痛みさえ気持ち良くなって





「大丈夫…………きて………」


「きてって………変態かおまえは………」




そういって葵に全てを預け、私たちは一つになった


葵は何度も名前も確かめるように私の名前を呼んで

私もそれに応えるように何度も葵の名前を呼んだ


酔いとかもう、覚めないでって


朝とか来ないでって





そう思った…



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