コイビト未満
ため息のスパイス
あれから葵は更に私にべったりで
暇さえあれば大学来るし
バイト終わったらいつも私の部屋に来て
朝そのまま家に戻って学校に行っての繰り返し
半ば軽い同棲生活を送っているような………
私がどんどん、あの子を甘やかしていっている気がする
「へー、菜成、葵くんと
それって付き合ってるってことだよね?」
「…………そうなのかな」
「そうなのかなって、だって、チューもして、セックスもして、ちゃんとやることやってんじゃん
それともセフレなの?」
「いや、それはちがう………と思う」
「煮え切らない女ね
葵くん可哀想」
だって付き合うとか付き合わないとか
よく考えたら葵から言われたことないし
葵を彼氏ですって言ったこともないし
何なんだろ、私達の関係って
お互い思っている気持ちは同じで
通じ合っているはずで
だけどそれが揺るぎないものになる確固たるものが今ひとつ足りなくて
その答えが私にも分からなくて、
「はぁ……」
「また一つ年取るよ、ため息ばかり」
「うるちゃい………」