サッカー少年。
いつの日だったか、家出をしたときに。
どこに行こうか迷った時に。
やっぱり、しょーもないぐらいにあんたを好きだったから。
不意に思い浮かんだのは、あんたの顔だった。
だから、無意識にあんたの家に向かってた。
会うつもりなんて、なかった。
ただ、近くに行きたいなって。
側に入れたら少しは落ち着くんだろうなって。
なのに、思った矢先に。
心臓が本当に止まりそうになった。
だって、夜中なのに。
補導されそうな時間なのに。
息を切らせて走ってあんたが来たから。
嘘だと思いたくて、背を向けて歩いたのに。
あたしの名前を呼ぶ声は、あんたの声で。
振り返って見た時の顔はあたしを何度も助けてくれた大好きな笑顔で。
あぁ、やっぱりこの人を好きになってよかったな。
直感的にそう思った。