夢ノ夢子のズルい罠

カズヤ君ではないか――。


夢ノ夢子親衛隊――。


スゥイートドリームメレンゲーズ――。


何故、こんな名称になった――。


日に日に増殖する夢子の罠に堕ちた男子生徒らが結成した、夢子も認める公式ファンクラブ――。


こうして校門で迎え、輪番制で鞄と夢子を教室まで送り届ける――。


唯一、夢子と二人っきりで過ごせる時間が、鞄持ちの特権であり故に、輪番制――。


等しく、「至福」の特権が彼らに分配される――。



発案し、けしかけたのは夢子――まさに、ズルさ満載の、ひょっとしたらと彼らの妄想を肥大化させる、ギャルゲーイベント――。




『夢子様っ、おはようございます――』


たぎる親衛隊の挨拶――。


「おはよぉっ――今日も夢子っ、嬉しいぞぉっ――」




「チュッ――」


モーニングプリティ投げキッス「初夏」が、親衛隊に降り注がれる――。




『だぁははぁぁぁーーっ――』


ソフトフォーカス、花とキラキラ模様が舞う背景の中、悦楽の表情で、鼻からは髄液が滴る親衛隊達――。



その列を、カズヤ君を伴い麗しく歩く夢子――。

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