キミとの距離は1センチ
「え、なにその顔……」

「どの口が言うか……! ほんとにおそろしい子……!」



わたしを凝視しながらも、なんだかドン引きしているような表情で訳がわからない言葉をつぶやく。

……このカオは、アレだ。こないだわたしが「さなえちゃんのこと狙ってる?」って訊いたときの伊瀬と、同じ表情だ。

ほんともう、なんなの? わたしの同期たち。



「な、なによ……」

「はぁ……やっぱりあたし、伊瀬くんに同情するわ。というわけで、あんたは余計なことしちゃダメよ」

「えぇ~? ちょっと!」



バッサリ言い捨てた都に待ったをかけるも、もうこの話は終わったとばかりに彼女はただ黙々と目の前のパスタを消費する。

……こうなったら、もはや彼女を説得する術はない。わたしは諦めて、ヒレカツ定食を平らげることに専念することにした。



「………」



──だけど、やっぱり、考えてしまうのだ。

憎まれ口をたたかれても。迷惑そうな顔を、されても。

伊瀬とは今までみたいにちゃんと目を合わせて、まっすぐに、付き合っていきたいって。
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