キミとの距離は1センチ
ひょいっと、わたしの手からダンボールを奪う。



「あ、ありがと」

「いーえ。どっか適当に入れておけばいい?」

「うん」



適当、とか言いつつ、伊瀬は手頃なところに無理やり突っ込んだりなんかしない。

1度ダンボールを床に置いてから、きちんと棚を整理して空けたスペースにダンボールをそっと置いた。

……うーん、やっぱりデキる男はそのあたりの所作から違うよね。わたしだったらグイグイ突っ込んでるわ。

これ言ったら、間違いなく伊瀬に「おまえは大雑把すぎ」って呆れられるだろうけど。



「伊瀬は、何か探しもの?」



ここで会ったのは偶然とはいえ、このまま同期を放置して、知らん顔でオフィスに戻るつもりもない。

そう思って小さく首をかしげると、がしがし頭を掻きながら、伊瀬は目の前にある背の高い棚を見上げた。
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