キミとの距離は1センチ
3度目に合わせたそれは、最初から、激しい熱を持っていて。

もっと深くまで食らい尽くそうと、伊瀬の舌先が、真一文字に結んだわたしのくちびるをなぞった。



「……佐久真、口開けろ」



薄目を開けた彼が低くつぶやくけれど、わたしはあまりのことに、首を振って逃れようとする。

けれども頬から後頭部に移動した伊瀬の手がわたしの髪を一掴みにし、ぐいっとやさしい動作で下に引っぱった。

首を反らされたせいで、僅かに口が開いて。簡単に入り込んできた彼の舌が、また深く、侵食を始める。



「ん、う……っ」



あつい。苦しい。あつい。

こんなキス、知らない。


わたしの舌も簡単に絡めとられて、吸い上げられて、くすぐられて、軽く噛まれた。

容赦なく攻め立てるその動きにだんだん力が抜けてきて、それと比例するように、伊瀬はわたしの方へと体重をかけてくる。

堪えきれず、いつの間にかわたしは、フローリングに敷いたラグの上に押し倒されていた。


ようやくわたしのくちびるを解放した伊瀬が、今度は首筋へと舌を這わせる。

荒く呼吸を繰り返しながら、それでもびくりと、わたしはからだを震わせた。



「や……っ伊瀬、や、だめ、」

「ダメじゃない」



するすると素肌をなぞる手に、いちいち反応する。

伊瀬は制止の声も聞かず、ちゃくちゃくと服を乱して、わたしのからだを暴いていく。



「……ッ、」



その顔をひっぱたいてやればいいと思うのに、できない。

だって、伊瀬は大切だ。……大切な、わたしの同期だ。
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