キミとの距離は1センチ
「……あのさ、さく──、」


「珠綺ちゃん!」



突然聞こえた第3者の声に、思わず肩がはねた。

見ると伊瀬を越えた向こう側から、長身の男性がこちらに近付いて来ていることに気付く。


……あ、あの人は──。



「よかった、まだ帰ってなかったね」

「……宇野(うの)さん。お疲れさまです」

「お疲れさま」



そう言ってにっこり、相変わらずの人好きする笑顔を浮かべて、彼はわたしの横に並んだ。

宇野さんは、身長が170近いわたしでも見上げてしまうほどの長身だ。はっきり訊ねたことはないけど、たぶん185センチくらいあると思う。

彼はそれから、そばにいる伊瀬にも振り返った。



「伊瀬くんも。お疲れさま」

「……お疲れさまです」



淡々と、伊瀬が言葉を返す。

そんな伊瀬に宇野さんはやっぱり微笑んで、またわたしの方へと顔を向けた。
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