キミとの距離は1センチ
「さっき、珠綺ちゃんにメール送ったんだけど。見た?」
「え。すみませんっ、気付きませんでした」
あわててバッグをまさぐろうとすると、やんわりと手を掴まれてそれを制される。
見上げた先の宇野さんがわたしの顔を覗き込むように首を傾けて、さらりとやわらかそうな茶髪が揺れた。
「いいよ。今日は俺、いつもより早く帰れそうだったから。もし時間が合えば、晩メシ一緒にどうかなって思って」
「あ、そうだったんですね。わたし今日はもう終わりなので、大丈夫ですよ」
「それはよかった。俺もすぐ荷物取って来るから、1階のエレベーターホールで待ってて」
「わかりました」
うなずいたわたしにふわりと笑みを残し、「じゃ、また後で」と片手を挙げた宇野さんは、エレベーターの方に向かって行く。
さすが『ブルバ本社の王子様』とまで言われている美形は、去り際も華やかだ。
まるで少女マンガのひとコマのように、そのまわりにバラやら百合やらが咲き誇っているような幻覚さえ見える気がする。
「え。すみませんっ、気付きませんでした」
あわててバッグをまさぐろうとすると、やんわりと手を掴まれてそれを制される。
見上げた先の宇野さんがわたしの顔を覗き込むように首を傾けて、さらりとやわらかそうな茶髪が揺れた。
「いいよ。今日は俺、いつもより早く帰れそうだったから。もし時間が合えば、晩メシ一緒にどうかなって思って」
「あ、そうだったんですね。わたし今日はもう終わりなので、大丈夫ですよ」
「それはよかった。俺もすぐ荷物取って来るから、1階のエレベーターホールで待ってて」
「わかりました」
うなずいたわたしにふわりと笑みを残し、「じゃ、また後で」と片手を挙げた宇野さんは、エレベーターの方に向かって行く。
さすが『ブルバ本社の王子様』とまで言われている美形は、去り際も華やかだ。
まるで少女マンガのひとコマのように、そのまわりにバラやら百合やらが咲き誇っているような幻覚さえ見える気がする。