キミとの距離は1センチ
「ね、ほんとはどうなの? 『Spica―スピカ―』って、わたしの名前から取ったの?」

「………」



一瞬、考えるように、わたしから視線を逸らして。

だけど次の瞬間、素早い動作で、伊瀬はわたしを床に押し倒した。



「っひゃ、」

「……教えない」



しっかりとわたしの両手を床に縫いつけながら、にやりと笑って彼が言う。

やられた、と思って掴まれた手首を一応動かそうとしてみるけれど、予想通りびくともしなくて。



「あ、あの、伊瀬くん、放して……」

「嫌だ。仕掛けて来たのは、そっちだからな」



し、仕掛けるって……! わたしはただ、名前のこと聞いただけじゃん!!


そうは思うけれど、彼はすっかりその気の様子だ。

ぺろりとわたしの首筋を舐め上げ、びくびくからだを跳ねさせるわたしの反応を見て楽しんでいる。


う、うう……っまた伊瀬のペースだ……!!
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