キミとの距離は1センチ
「今回の相手もさあ、なかなかレベル高いと思うのよ? 勤めてる会社、『ジェリービーンズ』らしいし」 

「ああ……あの大手下着メーカーの」

「そうそう。そういうとこで働いてるってことは、いろんな種類の下着持ってそうじゃん! なんかもう、そういうの想像するのも興奮するよな~!」



くたばれ西川……そして永遠によみがえるな……。

社内外の人が多く行き来する、喫煙ブース前の廊下。

そこで堂々と下ネタを披露するこの男が、自分の部署の先輩であるとはにわかに認めがたい。

そして1番、許しがたい点は──それを女の、……佐久真の前で、何の気遣いもなく言ってしまうことだ。



「うわあ、西川さん……。今わたしの中で、西川さんの株が絶賛急落中です」

「なんだよ、男だったら誰でも考えるだろ~! あれだよな、黒いレースとかいいよな! 純白もそそるけど! で、そういう佐久真っちはどんなん好みよ?」

「そうですねぇ、わたしは……って、わたし女ですから! 一応!」
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