キミとの距離は1センチ
けほ、と1度咳払いをしてから、改めて菜々子さんへと向き直った。
「で、菜々子さん。廊下の向こうからわたしにわざわざ駆け寄って来たのは、エルボーするためだけですか?」
「ちっちっち、それだけじゃないんだなあ~」
「へぇ~」
かわいらしくウインクをしながら人差し指を振ってみせる彼女に、『やっぱり今日もテンション高いなあ』と思ってしまう。
いや、わたしもよく、「佐久真さんは元気だね~」とか言われたりするけど……菜々子さんは、なんていうか別格だ。いつも無邪気で楽しそう。
「『へぇ~』って、気のない返事だなあ! こないだ頼んだ件、どうなったか聞きたかったの!!」
「ん? 『こないだ頼んだ件』?」
「“若くん”を、合コンに連れてきてって!」
「……ああ、」
話の合点がいって、つい苦笑が漏れる。
先日わたしに、伊瀬をメンバーに含めた合コンのセッティングを頼んだ量販営業部の先輩っていうのが……実はこの、菜々子さんで。
彼女はたいそう、“若くん”こと伊瀬のことを、お気に召しているらしい。
「で、菜々子さん。廊下の向こうからわたしにわざわざ駆け寄って来たのは、エルボーするためだけですか?」
「ちっちっち、それだけじゃないんだなあ~」
「へぇ~」
かわいらしくウインクをしながら人差し指を振ってみせる彼女に、『やっぱり今日もテンション高いなあ』と思ってしまう。
いや、わたしもよく、「佐久真さんは元気だね~」とか言われたりするけど……菜々子さんは、なんていうか別格だ。いつも無邪気で楽しそう。
「『へぇ~』って、気のない返事だなあ! こないだ頼んだ件、どうなったか聞きたかったの!!」
「ん? 『こないだ頼んだ件』?」
「“若くん”を、合コンに連れてきてって!」
「……ああ、」
話の合点がいって、つい苦笑が漏れる。
先日わたしに、伊瀬をメンバーに含めた合コンのセッティングを頼んだ量販営業部の先輩っていうのが……実はこの、菜々子さんで。
彼女はたいそう、“若くん”こと伊瀬のことを、お気に召しているらしい。