キミとの距離は1センチ
『うん。俺前から、伊瀬くんとはゆっくり話してみたいと思ってたんだよね。それに俺の同期誘ったって、珠綺ちゃん知らない人ばっかりだし』

「やー……まあ、それはわたし別に構わないんですけど」



自分ではわりと、年上の人ともうまくやれる方だと思ってる、から……初対面な宇野さんの同期と一緒だとしても、それはいいんだけど。

まさかここで、彼の口からわたしの同期の名前が出てくるとは。

けど、まあ、宇野さんがわざわざ指名してるわけだし。



「わかりました。明日、伊瀬に訊いてみます」

『よろしくね。あともうひとり、女の子がいるといいかな。珠綺ちゃんの友達誘いなよ』

「え、いいんですか? ……なら、そっちも声かけときます」

『うん、お願いね。』



その後もいくつか会話をして、わたしは電話を切った。

そのまま後ろにばふ、と倒れ込み、うーんと両手を挙げて伸びをする。


……宇野さん、伊瀬のこと気に入ってるよなあ。なんかやたら、絡みたがるし。

優秀な人材同士、何かと波長が合うのかもしれない。ていうか伊瀬、オーケーしてくれるかなあ……。

よし、いざとなったら、宇野さんの先輩命令振りかざそっと。

そんな勝手なことをこっそり思いながら、わたしは就寝前の準備をすべく、ベッドから立ち上がった。
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