キミとの距離は1センチ


◇ ◇ ◇


ウォーターパークまでは、会社の最寄り駅からだと二駅だ。

宇野さんとさなえちゃんは今日が初めての会話だったらしいけど、お互い名前と顔くらいは知っていたらしく、和やかな雰囲気で談笑していた。

なにこのふたり、超目の保養なんですけど。ふたりのまわり、めっちゃきらびやかな花が咲いてるみたいなんですけど。

思わずうっとり見つめていたら、横にいた伊瀬に「おまえはそれでいいのか」って突っ込まれた。『かわいい』と『イケメン』は正義なんだよ。


無事目的地にたどり着いたわたしたちは、受付を済ませると、男女別の更衣室へと向かった。

すでに自宅で水着は着て来たから、サマーニットとデニムのショートパンツを脱ぐだけで、もう準備万端だ。ちなみに髪型は、今日はめずらしく頭のてっぺんでおだんごにしている。



「わあ。珠綺さんの水着、かわいいです」



わたしが服を脱ぐなり、隣りのさなえちゃんが笑顔でそう言ってくれた。

ちょっと照れくさくて、へへ、と、思わずはにかむ。



「ありがと。去年買ったんだー」



今わたしが着ているのは、ぼかし花柄のフレアトップ水着だ。去年、都と一緒に買いに行って、見立ててくれたやつ。

トップスが大きめのフリルになっているから、小胸でも安心なんだってさ……お気遣いありがとう……。
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