キミとの距離は1センチ
まだ夏本番ではないとはいえ、ウォーターパークはなかなか盛況だった。最近、暑くなってきたしね。

広いパーク内にはさまざまな種類のプールがあって、どこから行くか迷ってしまいそうだ。

ど真ん中にあるのが、巨大な流れるプール。それから波のあるプールに、浅瀬のキッズ用プール。

ジャグジープールもあるし、ウォータースライダーは一部が外に飛び出している仕組みらしく、かなりスリルがありそう。

あ、波のプールではボディーボードもできるんだ。それもおもしろそう。


ここはスパも充実していて、別のエリアには大きな温泉もある。そこは水着不可だけど。

プールで遊んだ後は温泉にゆっくり浸かって、疲れを癒すこともできるのだ。


わたしとさなえちゃんは浮き輪をレンタルして、それをしっかりかぶってから流れるプールに足を踏み入れた。

温水だから、全然冷たくない。学生の頃は、学校のプールってただの水だったなあ。日によってすごく寒かったりするんだよね。


さなえちゃんときゃいきゃい笑いながら浮いていると、すいーっと宇野さんが近付いてきてわたしの浮き輪を掴んだ。



「珠綺ちゃん、俺が引っ張ってあげる」

「へ、わ、わあーー!!」



めずらしくにやりと不敵な笑みを浮かべたかと思えば、宇野さんは浮き輪を持ったままものすごいスピードで泳ぎだした。


そうだそうだ、宇野さんは学生時代水泳部だったんだ……!

まわりの人をすいすい追い越して変わる景色に、わたしは思いっきり笑った。
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