キミとの距離は1センチ
「ごめんね、女の子だけにして。これは俺らのおごりです」

「いえいえ、助かりました。でもおごりはありがたく受け取ります」



にこっと笑って、それから伊瀬の方にも視線を向ける。



「伊瀬も、ありがとう。なかなかナイスな悪人ヅラだったわよ」

「それ、褒めてないから」



呆れたように言いながら、伊瀬もおぼんを置いて椅子に腰をおろす。

彼から飲み物を受け取りつつ、しゅんとしたさなえちゃんがわたしたちを見渡した。



「あの、みなさんすみませんでした。私ただうつむいてただけで……」

「あはは、わたしもなんもしてないよ。頭の中で失礼なこと考えてただけ」

「珠綺ちゃん、実はキチクだねー」

「木下さんに、何もなくてよかった」



そう言ってにっこり、伊瀬がさなえちゃんに笑いかける。

さなえちゃんはほんのり顔を赤くして、それからパッと、また顔をうつむかせた。



「あ、ありがとう、ございます……」

「……いーえ」

「ふふ。じゃあ、川上チーフのフライドポテトと唐揚げ、食べようか」

「あ、あっちにワッフルとクレープとソフトクリームとたい焼きあるけど、みんな食べない?! 食べよう?!」

「佐久真、落ち着け」
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