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相手は水族館の従業員らしい。一目ぼれなど、俺には理解出来ないが。
ううーっと唸った。
「あたしって・・・・迷惑な子なのかなあ?」
「・・・さあ」
「もう!佐藤君、ちゃんと考えて!」
なぜ、俺が。
面倒臭くなって逃げようかと腰を浮かしたが、斜め前に座る先輩が睨んでいるのに気付いたから、仕方なくまた腰を落として答えた。
「・・・職場に毎日来て、あなたが好きですって言いまくっては付いて来るんだろ?そら、迷惑だよな」
ガーン!!!と叫んでのけぞり、更に目を潤ませた。
「やっぱり、やっぱり迷惑うううううう!??」
――――――・・・ああ、やべ。マトモに答え過ぎたか。
ショック~と叫んでぎゃあぎゃあ騒ぐのを出来るだけ聞かないようにして、もう泡のなくなったビールを飲んだ。
俺、もう帰ってもいいかなーと思い出した頃、名前も思い出せない隣の女子は、急に黙って俯いた。
「――――――・・・・でも、行かないと、あの人には会えない。だから・・・」
きっと顔を上げて、唇をかみ締めていた。
「だから、迷惑だって言われるまでは通い続ける。絶対無理だって判るまでは」
そして小さな声になって、だって好きで仕方ないんだもん、と呟いた。