10%


 がっくりきたけど、酔っ払った頭でいくら考えても出てくるのは「だって」の言葉ばかり。

 だって、会いたいんだもん。

 だって、声が聞きたいんだもん。

 だって、笑顔が見たいんだもん。

 その笑顔が例え、あたしだけに向けられているものではないのだとしても。

 その瞬間の、あの温かい気持ちは確実にあたしの中で存在している。

 その胸が痛いのも、手が震えるようなのも、全部全部―――――


「――――――・・・・でも、行かないと、あの人には会えない。だから・・・」

 あたしはきっと顔を上げて、唇をかみ締めていた。

「だから、迷惑だって言われるまでは通い続ける。絶対無理だって判るまでは」

 佐藤君が振り返った。そしてじっとあたしを見ていた。

「だって、好きで仕方ないんだもん・・・」

 あたしは膝に顔を埋める。隣の男の子の視線が痛かった。

 ・・・・何なのよう。

 捨てられないの。この気持ちは、今はまだ。何も進んでないうちに捨てたりなんか出来ない。

 あたしは彼の90%をゼロにして―――――――――


 浮かんだ涙を瞬きをして払った。


 あの人の、恋人になりたい。




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