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 それから3日間、俺は淡々とバイトに入り、さらりといつも通りの仕事をこなして、それから2年勤めた映画館を辞めた。

 最後の日は妙子さんは掃除に来ない日だったから、一人で掃除をして、支配人の机を綺麗に拭いて、シャッターを閉めた後は封筒に鍵をいれて映画館のメーターボックスに隠しておいた。

 明日、支配人がこれでシャッターを開け、映画館の一日を始めてくれるはずだ。

 静まり返った映画館の前で、しばらく呆然と立っていた。

 アルバイト生活で観た数々の映画の場面と、上映前のブザーの音、モップの匂い、お客さんとの会話、支配人の後姿、津野田さんの汚れた手、それに、妙子さんの笑顔が浮かんだ。

「・・・・仕方ねーよなあ・・」

 呟いてから、映画館に背を向けた。

 俺は、手放さなきゃなんない。

 妙子さんへの気持ちと、ここの仕事。

 商店街に風が吹き通る。真正面からそれを受けて、俺は一瞬目を瞑る。

 ・・・何だよ、これ。何か・・・・胸のとこが痛い・・・。


 一度強く頭を振って、家に向かった。


 季節はもう秋だった。




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