《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼
「いやー、鸞にかけようとしたらだありんにかけちゃってぇー」
『バレバレの嘘をつくでない!お主迎えにこいと言ってただろう!』
怒られた。
立場的には上司と平社員といったところの関係だ。
朱祢の仕事はいわゆる“平安を守ること”。
仕事というからには平安が崩されたのだろうが。
『まあよい、怒ったところで時間の無駄じゃ。
お主、今学校か?』
「あー、今終わったからな」
説教よりも重大な話なのか、鸞は話題を変える。
『なら今すぐ来れるか?お主の旦那もおるぞ』
「…えー…めんどくさいー」
『何をいう!お主はそれでも「はいはい行きます行きます」
このままでは説教が続く。それもめんどくさい。
『今回の仕事は災厄じゃ』
「災厄?」
携帯を耳にはさんで、通販で買ったばかりのバッグをまさぐる。
『各地で女が襲われたと通報があったのじゃ。死んではいないが、体液が抜かれておる。女と言ってもただの女ではないぞ?神々の一人や巫女など、神格の高いものじゃ』
「…謀反か?」